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遺言を争う方法

遺言を争う方法

生前から遺言があることを告げられておらず、被相続人の死後にいきなり遺言書が出てくるとその遺言に疑問が生じて、争いに発展することがしばしばです。

特に、その遺言の内容がある相続人に全財産を相続させる旨の遺言である場合や、被相続人が認知症を患っていた場合、遺言が争いの対象になってきます。

前者は、遺留分減殺請求の問題となり、後者は、遺言無効の問題となります。

遺留分減殺請求で争う手続き

→ 詳しくは、当事務所相続サイト 遺留分減殺請求 参照

遺言の無効で争う手続き

家庭裁判所に調停を起こす。
裁判所に遺言無効確認の訴えを起こす。

等の方法があります。尚、最終的に遺言の無効が認められなかった場合には、同時に自分の遺留分も侵害されていることがほとんどですから、実務的には、主位的請求として遺言無効確認請求、予備的請求として遺言が有効と判断された場合に備え遺留分減殺請求とする訴訟を提起しておく方法をとります。

遺言無効を争う手続きの流れ

家事調停の申立

まず、家庭裁判所の調停で話し合いをしなければなりません。

遺言無効確認事件は、いきなり訴訟提起をすることはできません。家事に関する事件であり家事調停の対象となりますので、家事事件手続法第257条で、先行して家庭裁判所に家事調停を申し立てなければならないと定めています(これを「調停前置主義」といいます。)。

もっとも、関係者での見解の対立が激しく調停で解決する余地がないようなときには、家事調停を経ずに訴訟提起した場合であっても、そのまま訴訟手続きの審理を行ってくれる場合もあります(家事手続法第257条2項但し書き)。調停を申し立てるか、いきなり訴訟をするかは、依頼する弁護士の判断に任せましょう。遺言が無効だということは、遺言が偽造されたとか、遺言者の意思能力が問題だとかということが基本にあるわけで、家裁で調停をしても不調に終わることはほぼ確実ですから、当事務所では、時間の無駄を省くためにも、いきなり地裁に訴訟提起する場合がほとんどです。

家事手続法第257条

1 第244条の規定により調停を行うことができる事件について訴えを提起しようとする者は、まず家庭裁判所に家事調停の申立てをしなければならない。

2 前項の事件について家事調停の申立てをすることなく訴えを提起した場合には、裁判所は、職権で、事件を家事調停に付さなければならない。ただし、裁判所が事件を調停に付することが相当でないと認めるときは、この限りでない。

遺言無効訴訟の提起

家庭裁判所に調停を申し立てたが、遺言の有効・無効についての争いが解決できなかった場合、遺言の無効を主張する相続人が原告となり、遺言の有効を主張する相続人を被告として、地方裁判所に遺言無効確認請求訴訟を提起し、判決で有効か無効かを確定することになります。なお、遺言執行者の指定されているケースでは、遺言執行者を被告とします。

遺言無効訴訟の争点

(遺言能力が争われる事案)

遺言者が認知症であることを理由に無効を主張する場合があります。認知症といっても当然に遺言能力がないとなるわけではありません。認知症の方でも遺言時に遺言の内容が理解できる状態であれば、その遺言は有効なものとみなされます。その判断は難しく、様々な要素を考慮した上で事例ごとに判断されます。

その要素とは、

  • 遺言時又はその前後の診断書
  • 長谷川式簡易知能評価スケール等の精神心理学的検査の結果
  • 担当医師の供述
  • 医療鑑定の結果
  • 遺言者の日記
  • 生前の遺言者の生活状況・人間関係に関する関係者の供述

等です。

尚、公正証書遺言であっても、裁判所が無効であると判断した事例もあります。(東京高等裁判所平成12年3月16日判決:遺言をした老人が遺言の当時重度の認知症症状により意思能力がなかったとして公正証書遺言が無効とされた事例/東京高等裁判所平成22年7月15日判決:司法書士立会の下に作成された公正証書による遺言が認知症により遺言能力を欠き無効であるとされた事例)

(自筆遺言の自書性が争われる事案)

遺言は要式の法律行為のため、例えば自筆証書遺言の場合、遺言の全文、日付、署名が自書されていなければなりません。そうすると本人の自筆でない自筆証書遺言は無効となります。

自筆であるかどうかを争うには、筆跡鑑定が必須ですが、本人の手帳や日記など、比較材料を用意しておくべきです。

遺言無効訴訟の判決

遺言無効確認請求訴訟の結果、遺言に無効原因があると判断された場合には、請求認容判決が下され、遺言の無効が確認されます。

逆に、遺言が有効であると判断される場合には、請求が棄却されることになります(この場合、多くの例では遺留分減殺請求に移行します。遺留分減殺請求が時効にかからないように注意すべきです。)。

控訴審・上告審

地方裁判所(又は簡易裁判所)での遺言無効確認請求訴訟の判決に不服がある場合には、当事者は控訴をすることによって、上級裁判所での再度の判断を求めることができます。

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