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遺言のすすめ

遺言がないとどうなるか

普段は仲が良かった相続人間でも、いざ相続となり遺産を分ける段になると、途端に欲が出て争いに発展することは珍しくありません。生前から相続人間の仲が悪い場合にはなおさらです。いったん相続が「争族」となると、相手が身近な人であるだけに、感情的になって、協議が泥沼化してしまうケースが後をたちません。相続をきっかけに絶縁状態になるということも珍しくありません。これは大変悲しいことです。

遺言がない場合は、相続人間で遺産分割協議を行い、全員が分割案に同意しないと、実際に財産を取得することはできません。相続人間の仲が悪いと遺産分割成立までに時間がかかり、中には4、5年かかることもあります。当事務所が扱った例ですが、成立までに実に35年もかかってしまった例もあります。

遺産分割に時間がかかると次のような不都合が発生します。

  • 相続税の申告期限は、相続が発生したことを知った日の翌日から10か月以内ですから、それまでに相続人全員による遺産分割協議が整わないと、相続税を相続財産から支払うことができません。
  • 分割協議が整わず分割未了の場合は、「小規模宅地等の特例」等の適用をうけることができません(この特例の適用条件に当てはまれば、例えば居住用土地建物については、評価額を最大20%に減額することができます。)。※1
  • 分割協議が整わず分割未了の場合は、「配偶者の税額軽減の特例」等の適用をうけることができません(この特例の適用条件に当てはまれば、配偶者の相続分のうち、その法定相続分か1億6000万円のどちらか多い金額までは相続税がかかりません。)。※2
  • ※1、※2「申告期限後3年内の分割見込書」を添付すれば、申告期限から3年内に分割された場合、特例の適用を受けることができますが、一旦は特例の適用がない場合の相続税を納め、分割後に更正の請求をする必要があります。

 

遺言があるとどうなるか

生前に故人が作成した遺言があれば

残された親族間の争いを未然に防ぐことができます。

なぜなら、遺言は相続において最も優先される基準となるからです。財産をどのように分配するかを予め指示した遺言書を作成しておけば、その指示通りに財産が分けられ協議の必要がありませんので、時間も手間も省け、トラブルを防ぐ有効な手段になるのです。もちろんすべての相続人が遺言書に完全に納得するとは限りませんが、遺言書さえあれば、多少その内容に不満があったとしても、「故人の意思」だと思って納得されるのが通常です。

ですから残された家族がいつまでも仲良く暮らすためにも、遺言書で、あなたの明確な意志を示して、愛する家族に紛争の原因を残さないことが大切です。

 

遺言書作成を特にお勧めするケース

法定相続分と異なった配分をしたい場合

長女に他の子供より多く配分したい場合

例えば、自分の介護をしてくれた長女に法定相続分より多めに財産を遺したいという場合があると思います。親の介護を特別にした相続人には、「寄与分」が発生して、他の相続人より多く相続することが法律上は可能です。しかしこの「寄与分」には、特別な要件があり、また、取り分を認めてもらうには、原則として相続人全員の話し合い(協議)で認めてもらわなければならず、協議がまとまらないときは、家庭裁判所に調停や審判を申立ててその額をきめてもらうことになります。しかし、この寄与分を認めてもらうために調停を申し立てるような場合には、本体の遺産分割自体が争われている場合がほとんどです。そのようなときに、寄与分を持ち込むのは、火に油を注ぐ様なもので、紛争がますます長期化してしまいます。


このような場合に威力を発揮するのが遺言書です。

遺言書で自分の介護をしてくれた長女に法定相続分より多めの配分を指定しておけばよいのです。そして、特定の人に多めに財産を相続させることにより、親族間に禍根を残すのもよくありませんので、配分を他の相続人の遺留分に考慮したものにしたり、配分の理由を下記のような付言の形で記述するなどの方策を講じたりすることを是非ご検討ください。

(付言事項の例)

長女花子には、私の介護をお願いすることになって、大変な負担をかけてしまいました。でも花子は、いつも笑顔で対応してくれて、一人では何もできない私の身の回りの世話をすべて引き受けてくれました。おかげで、不自由な身でありながらも花子の献身的な介護のおかげで、人間らしい余生を送ることができました。長男太郎には、言い分があるかもしれませんが、私は本当に花子に助けられたので、そこのところをよくわかってください。どうか、遺産のことでも揉めたりすることがないようくれぐれもお願いします。これからも、花子と太郎が仲良くしてくれることを私は天国で見守っています。

妻に全財産を渡したい場合

子どものいない方の場合、配偶者と亡くなった方の兄弟姉妹が相続人となるケースがあります(両親はなくなっているとします。)。このケースでは残された妻と兄弟姉妹との間で争いになる可能性があります。あなたが自分の兄弟姉妹にも財産を残したいという考えであれば別ですが、最愛の妻に全財産を残したいという考えであれば、妻に全財産を相続させるという遺言書を作成すべきです。兄弟姉妹には遺留分がありませんので、遺言書で全財産を妻に相続させる遺言を残しておけば、妻は兄弟姉妹がどんなに不服であろうが、妻は全財産を取得できることになります。

妻に全財産を相続させたい場合
相続関係図

法定相続人以外の人に財産を遺したい場合

長男の嫁に相続させたい場合

相続財産として500万円の自宅と500万円の現金があるとします。長男の嫁に長年介護をしてもらっているけれど、妻と長男は既に他界し、長男には子供がいない場合

長男の嫁に相続させたい場合
相続関係図

この場合、長男夫婦に子供がいなので、相続人は、次男と三男だけになり、妻には相続分がありません。次男と三男は、自宅を必要としないので、売却処分してしまうかもしれません。そうすると長男の嫁は、一円ももらえず家から追い出される可能性すらあります。

ここで、役に立つのが遺言です。

遺言で、次男と三男に現金を250万円ずつ与え、長男の嫁に自宅を与える遺言を残せば、遺留分にも配慮してありますので、長男の嫁は安心して自宅を取得できます。

内縁の妻に相続させたい場合

また、長年連添っている連れ合いでも、婚姻届をだしていない内縁関係である場合、特別縁故者として認められない限り、内縁の夫や妻は財産を引き継ぐことはできません。一人でも法定相続人がいるとその人に相続財産が行ってしまうのです。内縁の配偶者に財産を譲りたい場合にはその人に遺贈する旨の遺言書を作成する必要があります。

その他の場合

これ以外のケースとしては、「孫に財産を譲りたい場合」「親しい友人に財産を残したい場合」等があります。このように、法定相続人以外に財産を遺したい人がいる場合は、いずれにせよ、その人に遺贈する旨の遺言書を作成する必要があります。

相続争いが予想される場合

再婚された場合

離婚後に再婚していた場合、再婚による配偶者(後妻)とともに、前妻との間の子が相続人となります。このようなケースでは、後妻を守るために遺言書を作成しておくのが必須だといえます。

もし、遺言書がなければ、遺産相続手続きをするためには、遺産分割協議書に署名押印(実印)をしてもらい、印鑑証明書も提出してもらうなど、前妻との間の子の協力を得なければなりません。生前、遺言者が前妻との間の子と良好な関係を保っていたならまだしも、そのような事情がないと、前妻との間の子は、ある意味「父に捨てられた」というような感情を持っていることも珍しくありません。このような場合は、その不満のはけ口を後妻に向けがちで、遺産分割協議が困難になることが予想されます。特に注意すべきは、自宅がある場合、後妻に自宅を相続させる旨の遺言を遺しておかないと前妻の子が自宅への相続分を主張して、後妻が自宅に住めなくなる可能性もあります。

再婚した場合
相続関係図

相続人間の仲が悪い場合

冒頭でも申し上げたように、仲の良かった相続人間でも遺産問題がきっかけで、犬猿の仲になることがありますが、相続人間の仲が悪い場合にはなおさらといえるでしょう。このような場合、遺言書があれば、相続人間の分割協議を経ることなく、指定された相続人が不動産や預金を取得することになりますから、争いが延々と続くようなことはありません。さらに遺言書で弁護士を遺言執行者に指定しておけば、遺言の内容に事実上反対している相続人がいても、遺言通りの内容を執行することができますから、手続きが円滑に進みます。

不動産を所有している場合

相続財産に不動産がある場合、不動産は現金と違って評価が難しい上に分割しにくいので、相続人間で遺産分割協議をしようとしてもうまくいかず、相続争いに発展してしまうことが多々あります。相続財産に不動産がある場合は、遺言書で遺産の分割方法を指定しておくことにより相続人達の負担はずいぶん軽くなります。

被相続人が個人事業主で相続人の一人に事業承継させたい場合

個人事業主の場合、法人と異なり事業用財産は個人のものですから、相続の際は、事業用財産(不動産、機械設備、備品、売掛金、預貯金等)も相続の対象となり、法定相続分に従って細分化され、後継者となる相続人が事業を継続できなくなるおそれがあります。そのような場合は、後継者に事業用財産を相続させる旨を遺言書で定めておくことが有用です。ただし相続税の絡みもありますので、生前に事業承継プランを弁護士や税理士などの専門家と相談しておくことが重要です。

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